ご挨拶
2024年2月
総領事挨拶案
皆様、本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
2024年の幕開けは、日本は大地震に見舞われ、羽田空港では重大な航空機衝突事故が発生する事態となりました。ここクイーンズランド州も昨年のクリスマスから新年にかけて熱帯性暴風雨で大きな被害に見舞われました。皆様の御家族、お知り合いなどが巻き込まれなかったことをお祈りします。また、犠牲になられた方々に心からお悔やみ申し上げますとともに、被災された方々、御家族の方々にお見舞いを申し上げます。
その中で一つの救いは、能登半島で被災された方々の秩序と尊厳を保った行動であり、また、航空機事故では残念ながら海上保安庁の方々5名が亡くなりましたが、日航機の乗客乗員379名が一人の犠牲者も出さずに無事脱出されたことです。今回の災害・事故は、もちろん大変悲しい出来事ですが、あらためて日本人の強靭さや品格が世界に向けて示された瞬間でした。これは掛け値なく評価されるべきことであり、我々も同じ日本人として大変誇らしく感じられたことだと思います。
同時に、こうした災害において活躍される自衛隊、海上保安庁の方々にもあらためて敬意を表したいと思います。外交防衛は国のかなめと言われるとおり、防衛省・自衛隊、海上保安庁と外務省は、ともに国を守るため協力し合う仲間です。私自身、こうした機関の方々と一緒に仕事をしたことが何回かあり、その人たちとは未だ連絡を取り合う仲です。今回の海保の事故機の機長は、そうした私の仲間の後輩だったということ、またその仲間のご家族も今回被災したということを聞き、とても他人事とは思えなかった次第です。
自衛隊も海上保安庁も、そして我々外務省員も、趣味は日本、関心事も日本、というくらい愛国心の強い人たちです。そもそも外交防衛に携わる者たちは、健全にそうした意識を持つ人たちであるべきだと思います。今回の海保機の事故も、能登半島地震の被災地に、救援物資を届ける作業の中で起きた事故でしたので、本当にいたたまれない気持ちになります。あらためて亡くなられた隊員達の御冥福をお祈りしたいと思います。
さて、総領事館としての今年の目標ですが、基本は変わりません。在留邦人の方々や当地への旅行者の安心・安全のための領事業務が最大の使命です。その上で、引き続き政治・経済等の様々な情報収集、日本企業支援、自治体交流支援、日豪交流促進のための活動を更に進めていきたいと思います。
今年は3月に州内の地方自治体選挙、10月に州議会議員選挙が予定されています。今年後半から来年半ばまでには連邦議会選挙も実施されると聞いており、我々もこうした選挙の動きに注目しています。連邦制のこの国は、貿易投資分野や産業政策については州が極めて強い権限を持つだけに、そうした州議会、政府の動向、政策は、この国と深い経済関係を持つわが国への影響も大きいことから、しっかりフォローしていきたいと思います。
更に、そうした政治経済関係の基盤となる、人と人との交流もしっかりやっていきたいと思っています。これは総領事館単独で何かをやるというよりも、日本人会、企業をはじめとする在留邦人の皆様の活動をサポートしていくことがより重要と考えます、例年の事業に加え、さらに新たな動きがあればお知らせください。
人的な交流については、昨年後半ゴールドコースト空港から日本への直行便がなくなり、全体で見ても、今のところ人の流れは豪州から日本へのほうが優勢ではあります。しかし、今度はブリスベン空港からカンタス航空、ジェットスターが成田への毎日便を飛ばし、関西国際空港へのルートも開設されたということで今後に期待したいと思います。近い将来、必ずや日系の航空会社も戻って来ていただけると確信しています。
我々総領事館も日本からの来訪者がもっと増え、双方向でバランスの良い交流が進んでいくよう何らかのお手伝いができればと考えています。そうした観点から自治体交流、学校交流は、日々の活動は地味かもしれませんが、確実に豪州への関心を高める取り組みであり、日本において親豪家をつくる大事な取り組みではないかと考える次第です。いずれにしろ、本年は更なる交流の活発化を期待したいと思います。
最後に、領事関係で一つお知らせです。これまで当館では査証申請については対面のみでしたが、2月1日からは観光査証につき電子申請も導入されました。また、2月5日からは、領事窓口においで頂く際は事前のオンライン予約が必要となりました。つまり、一部領事業務を除き、旅券あるいは証明書等の申請、届け出、発行・受け取りなどは、窓口においでになる前にオンラインでの事前予約が必要となるということです。
近年、本当に日本へ渡航/滞在する人が増え、また在留邦人の手続きも特にスクールホリディ時期は集中してしまい、従来のやり方では手続きが追いつかなくなっています。
窓口においで頂く皆様にも待合も含め多大な時間がかかるということで、双方にとって負担になっていますところ、こうした形に切り替えることになりました。詳細は、本HP内の領事関係のお知らせでご確認ください。
最後に、今年は悲しい出来事で幕が開きましたが、皆様が今年もそれぞれの目標に向かい、それが実現すること、そしてまた日豪関係の更なる関係発展のために領事館とともにご尽力いただけることを期待しております。
皆様のご健康とご多幸をお祈りして、新たな年の挨拶に代えさせていただきます。
在ブリスベン日本国総領事
胡摩窪淳志