新年のご挨拶
田中一成
在ブリスベン日本国総領事
2021年、令和3年を迎え、謹んで初春のご挨拶を申し上げます。
昨年、クイーンズランド(QLD)州は1月末に公衆衛生上の緊急事態宣言を行い、外国との往来を始め感染拡大を防ぐべく様々な規制を実施、日々の生活や業務の面では大変な1年でした。感染・罹患された方々に心よりお見舞いを申し上げると共に、殆ど感染のない現在の状況を可能にした連邦及びQLD州関係者の方々に、感謝したく思います。
連邦・州の様々な規制や支援策については、全在豪日本公館が協力して、可能な限り迅速に日本語でもご案内すべく努めましたが、雇用や業務、また、勉学の上でのご苦労も多いと存じます。幸いにも皆様方の間での感染はほとんどなかったものの、一時帰国については難しい状況で、ご心配やご苦労はいかばかりであったかと思います。有効なワクチンと医療・検疫体制の更なる整備により、両国間の往来が戻ることを祈念してやみません。
「1980年代初めからの私自身の経験からも、現在の日豪関係は最も良好で、最も更なる発展の可能性のある二国間関係の一つだと感じています。」と申し上げた昨年、両国関係は更なる大きな進展を見せました。モリソン首相は、7月安倍総理とテレビ首脳会談を行い、11月には自己隔離の制約を乗り越え、菅総理にとり初となる日本での首脳会談を行いました。更なる関係強化に対する同首相の強い思いを示すもので、両国メディアの多くが極めて好意的に報じ、また、年末の連邦議会でも、首脳会談の成果や対日関係の重要性(はやぶさ2もありました)について連日言及されました。
このような関係は、皆様方による日頃からの経済関係、文化・人的交流と相互理解に根ざすものです。COVID-19はこの面で大きな制約となりましたが、11月、神戸・ブリスベンの姉妹都市締結35周年に際しブリスベン市議会が記念決議を採択し、農業分野では、日本向けに改良した「甘い」かぼちゃの初輸出、9月にはアジアへの輸出を目指すより良い品質の園芸作物の栽培方法を学び合う、州試験場のグリーンハウスが完工しました。
1896年に豪州への初の日本領事館がタウンズビルに設置されて本年は125年目となります。東京オリンピック・パラリンピックが、日本に対する豪州国民の関心を高める機会となるに変わりなく、南東部QLDとして2032年の招致を強く希望している中、この面の交流・協力も重要なものとなるでしょう。どのように良好な関係も維持・強化の努力を忘れてはならず、そのお手伝いをすることが我々の使命と考えます。バーチャルを含めた様々な交流活動を、皆様のご協力を得ながら、また、皆様と一緒に、進めていきたいと考えます。
最後に、様々な困難が続くこととは思いますが、皆様のご健勝と安寧を祈念し、新年のご挨拶とさせていただきます。